週刊おやさい通信 vol.27

今週は、今が見ごろの「赤米」の田んぼをご紹介します。   

赤米の産地から
   

ここは福岡県福岡市と佐賀県唐津市の間に位置する福岡県糸島市二丈町、糸島赤米プロジェクトの田んぼです。
   

背後の山から海に向かって谷間を縫うように棚田が広がっています。民家が両脇の山に沿って並んでいるのが分かりますか?
 
「ここは昔から田んぼが作られていた土地です。稲作に一番適した土地に田んぼができ、稲作に向いていない土地に家が建ったんです。今でもそうです。」と吉住さん。
なるほど、棚田や集落って、そうやって成立してきたんだ・・・。
   

赤米とは
   

これが赤米の田んぼです。きれいでしょ。
よく「古代米」と言われる、お赤飯のルーツのお米です。赤いといっても紅色でなく、赤褐色の色素を持った米で、胚乳の部分は白、糠層の部分に「カテキン」という赤褐色の色素を含む、野生種の稲に近いお米です。赤米は昔から日本でも栽培されていましたが、明治以降は作られなくなり、一部の地方で神事用として細々と栽培されていたんだそうです。
   

文献によると決しておいしいお米ではなかったそうですが・・・それをもち米種と掛け合わせることで出来たのが、この二丈赤米なんだそうです。
   

よく見ると1粒に1本ずつ芒(「ぼう」とか「のぎ」とか呼ばれます)が伸びています。これが赤いため、田んぼ全体が赤く染まって見えるのです。
「夜間の温度が低い方がきれいな赤い色が出るんですよ。その意味で、ここは赤米の生産に適した土地です。」
     

触ってみるとこの芒、結構硬いんです。
「米には本来この芒があるんです。でも収穫する時、折れた芒が襟元から入ってチクチクして痛かったり機械に引っかかったり、作業の邪魔になるんです。
 
だから品種改良が重ねられて今では芒のない品種ばかりになりました。
その意味では赤米は原種の性質を残しているといえるでしょう」と吉住さん。
   

そういえば同じような芒がある「小麦」も「とうもろこし」もイネ科の植物でしたね。
   

なぜ赤米を?   

「今の日本の米政策は、ブランド信仰というか、コシヒカリ系の品種に品種改良が偏りすぎていると思うんです。
でも地球温暖化など、これからの環境の変化を考えると、それに耐えられるように遺伝子の多様性があった方がいいんじゃないか、そう思うんです。」
   

そこで、主流の稲とは血縁が遠い稲を掛け合わせようと、「対馬系うるち米種の赤米」と「白のもち米」を掛け合わせてできたのがこの二丈赤米です。
この米は、生命力が強く厳しい自然環境下でも育つたくましい品種だそうです。
   

「農薬や化学肥料もほとんど必要ないんです。化学物質に頼らず環境負荷の少ない農業を目指す私たちは、こういう品種を後世に残したいと思っているんです。食べる人の体への負荷も少ないですし。」と吉住さん。
   

糸島からのメッセージ
   

この田んぼ、色の濃淡があるのが分かりますか?1枚の田んぼに普通のお米と赤米を植えています。
苗の時には分からないんですが、品種によって成長が違い、穂の色が違う、それを利用して田んぼをキャンバスにしてメッセージを描こう、というスケールの大きな取り組みです。もう21年目だそうです。
   


   

 

9月11におじゃました時は、こ~んな感じで絵文字が浮かんでいました。
観賞用のやぐらが立っているのですが、それでもカメラで全景を写すのは不可能でした。
  

「糸島から愛をこめて、全国へ元気を!!」と読むそうです。  


 吉住さんは「実は私もちゃんと見たことがないんです。テレビのニュースでヘリコプターからの映像を見たくらいです。」
見たい人は9月17日~19日に鑑賞会があるそうですから、インターネットで場所を探してみては・・・。
日によって、赤米のおもち・うどん・おにぎりの試食があるという情報も・・・。
   

    

それから、見るのは日没前の5時頃が一番美しいそうです。
ちなみにこちらは黒米の田んぼ、写真ではよく分からないのですが、普通のお米とは印象が違うんです・・・猛々しい感じがしました。野生に近い品種なのだそうです。
   

ちょっとうれしい
   

吉住さんのお宅を訪れた「Agri-Project in九州!!」の皆さん、福岡県の大学生4人組です。折角なので、吉住さんの奥さんも一緒に・・。
   

「食と農をもっと身近に」ということで、毎年農業体験をしているそうです。もう10年続いているんだそうですよ。
こんな風に、食べものと農業に関心を持ってくれる若い人たちがいる・・・ちょっと明るい気持ちになりますね。
   


   

カテゴリー: 未分類   パーマリンク

コメントは受け付けていません。